喫煙による犬への影響

喫煙が犬に与える影響については、たくさんの研究結果が報告されており、人と同じように深刻な問題だと考えられております。
犬は、自分からタバコを吸うことはありません。すべて、人間が吸ったタバコを煙として二次的に体に吸収することにより、さまざまな病気を発症することになるのです。
飼い主の皆さまだけではなく、全ての人が喫煙についての考え方を改めて見直す必要があるのではないでしょうか。
そこで、今回は、喫煙が犬にどのような影響を及ぼすかについてお話ししたいと思います。

目次

本人だけではない喫煙の犬への影響

ほとんどの犬が人間よりも小さな存在です。喫煙が犬に与える影響は、人間に対する影響以上に深刻な問題です。
タバコの煙には、ニコチン、タール、一酸化炭素など、犬にとって非常に有害な物質が7000種類以上含まれています。これらの物質は、犬の健康に様々な悪影響を及すものです。以下に、喫煙が犬に与える主な影響について列挙いたしましたので、ご参考にしてください。

1.受動喫煙による健康リスク

犬は飼い主が喫煙する空間で受動的にタバコの煙を吸い込みます。これにより、呼吸器系の問題、アレルギー反応、さらには癌のリスクが増加します。特に小型犬や呼吸器系に先天的な問題のある犬は影響を受けやすいです。

2.環境汚染

タバコの煙は家の中にこもりやすく、犬が生活する環境を汚染します。これにより、室内の空気品質が低下し、犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

3.ニコチン摂取

犬がタバコやニコチン製品を誤って摂取すると、中毒症状が現れる可能性があります。これには嘔吐、下痢、不安、神経系の異常、さらには死亡することも含まれます。特に、ニコチンの含まれる電子タバコやニコチンガムなどの製品には注意が必要です。

4.癌のリスク

喫煙により、犬のがんの発症リスクが増加します。犬は主に二手煙を吸引するため、特に口腔、鼻腔、肺などのがんのリスクが高まる可能性があります。

以上のように、喫煙は犬の健康に多くのリスクをもたらす可能性があります。したがって、犬を飼育している喫煙者は、できる限り喫煙を避け、犬の健康を保護するために努めるべきかと考えます。

三次喫煙について

他人が吸っているタバコの煙、いわゆる副流煙を吸い込むことを、受動喫煙といいます。一時、世間で騒がれていたこともあり、受動喫煙の害についてはすでによくご存知かと思います。飼い主さんなら愛犬のいる前ではタバコを吸うことはされないのではないでしょうか。

しかし、最近の研究結果では、受動喫煙だけではなく、三次喫煙が犬の健康に悪影響を及ぼすことが知られてきています。三次喫煙とは、喫煙によって発生する有害な化学物質が、環境中に残留し、後に接触した人々や物品に付着する現象を指します。つまり、直接的な喫煙や受動喫煙とは異なり、空間に残るタバコの残留物質が引き起こす影響のことを三次喫煙といいます。

このような残留物質には、ニコチン、揮発性有機化合物、有機カルシウム化合物、多環芳香族炭化水素などが含まれており、壁、家具、カーペット、衣類、おもちゃなどの表面に付着し、長期間残留します。

三次喫煙のリスクは、人間よりはるかに小さな犬にとっては、空間に残る有害な化学物質に長時間さらされる結果となり、それが原因となり健康へ悪影響を及ぼすことにつながります。

したがって、三次喫煙は喫煙の健康リスクの一部であり、喫煙者自身だけではなく、その周囲の人やさまざまな生き物にも悪影響を与えるため、環境中のタバコの残留物質に注意を払い、それを最小限に抑えることが重要になってきます。

犬はタバコの影響を受けやすい理由

犬が喫煙による病気の影響を受けやすい理由はいくつかあります。

1.呼吸器系の感受性

犬の呼吸器系は人間よりも比較的小さく、また鼻腔や気道の構造が異なるため、喫煙による影響を受けやすい傾向があります。喫煙によって発生する有害物質や煙が犬の呼吸器系に直接影響を与え、様々な疾患を引き起こす可能性があります。

2.遺伝的要因や種類による差異

犬種によって呼吸器系や遺伝的な健康リスクに差異があります。特に小型犬や先天的に呼吸器系の問題を持つ犬は、喫煙による影響を受けやすい傾向があります。

3.生活環境

犬はしばしば飼い主と同じ環境で生活し、その中に喫煙の影響が及ぶ可能性があります。たとえば、室内で喫煙する場合、犬は受動的にタバコの煙を吸引し、その影響を受けることがあります。

4.健康管理の違い

人間と同様に、犬も適切な健康管理や医療ケアが重要ですが、一部の飼い主は犬の健康に関する注意を怠ることがあります。喫煙による影響を軽視し、適切な予防措置や医療処置を行わない場合、犬が喫煙による健康リスクを受けやすくなります。

これらの要因が組み合わさることで、犬が喫煙による病気の影響を受けやすくなります。したがって、喫煙者の飼い主は犬の健康を保護するために、喫煙による影響を最小限に抑える努力をすることが重要です。

被害を受けないために

犬がタバコによる被害を最小限に抑えるための対策について、以下にまとめましたので、ご参考にしてください。

1.喫煙エリアの確立

犬がいる場所で喫煙する場合は、犬がアクセスできない場所で喫煙するようにしましょう。例えば、屋外や換気の良い部屋が適しています。

2.室内の換気

喫煙後は、部屋を十分に換気してタバコの煙を排出しましょう。窓を開けて新鮮な空気を取り入れることで、室内の空気品質を改善できます。

3.タバコの管理

タバコは、犬が触れられない場所に保管しましょう。特にタバコに含まれるニコチンは犬にとって毒性が高いため、誤って摂取しないように注意が必要です。

4.掃除

定期的に家の中を掃除し、タバコの残留物や煙の臭いを取り除きましょう。特に家具やカーペットなどの表面に付着したタバコの残留物を除去することが重要です。

5.定期的な健康チェック

犬の健康状態を定期的にチェックし、喫煙による影響がないかを確認しましょう。獣医師による健康診断や相談を受けることで、早期に健康問題を発見し、適切な対応を心がけてください。

6.禁煙

最も効果的な方法は、喫煙をやめることです。犬の健康にもあなたの健康にもプラスの影響があります。喫煙をやめることで、犬がタバコによる被害を受けるリスクを大幅に軽減することができます。

これらの対策を実践することで、犬がタバコによる被害を最小限に抑えることができますので、今すぐ実行に移してください。

最後に

犬は受動喫煙により、肺がんや鼻腔がんなどの発生率が増加する可能性があります。特に、長頭種の犬は鼻のがんに、短頭種〜中頭種の犬は肺がんにかかりやすいとされています。また、喘息や気管支炎などの呼吸器疾患のリスクも高まります。タバコの煙は空気よりも重く、空間の下にたまりやすいため、犬は人間よりも多くの副流煙を吸い込むことになります。三次喫煙では、タバコの煙の成分が衣服や壁、カーテン、じゅうたんなどに付着し、犬がそれらを舐めることで有害物質を摂取してしまうこともあります。
どうか、タバコが関係する環境の改善を行うことで、幸せな愛犬との日々を心から願っております。

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