イャ~な季節がやってきました。
暑くなるとともに蚊やダニなど『毒虫』と呼ばれる害虫が発生する季節の始まりです。
人間と同様、犬も虫に刺されます。刺されるとかゆみと炎症を引き起こします。
大体の場合、かゆみ止めの薬を塗っておくと治りますが、重い感染症になり、場合によっては命に関わるような症状を引き起こす可能性もあります。
そこで今回は、犬を刺す毒虫についての対策と予防についてご紹介したいと思います。
愛犬にとって危険な虫5選
愛犬が刺される可能性がある虫には、主に次の5種類の虫があります。
1. 蚊
犬が蚊に刺されるとフィラリア症という重篤な病気を引き起こす可能性があります。フィラリア症はフィラリアという寄生虫が蚊を媒介して犬に寄生する病気です。
犬が蚊に刺されることによって、蚊に寄生していたフィラリアの幼虫であるミクロフィラリアが犬の体内に侵入し心臓や肺に住みつく寄生虫病で、最悪死に至ります。フィラリア症を予防するためには、予防薬を投与することが最も大切になってきます。
2.ハチ
ハチの中でも特にスズメバチは非常に攻撃的で狂暴な大型の蜂です。巣を守るために攻撃しやすく、群れで襲ってくることもあります。肉食性で他の昆虫や小動物を捕食します。
スズメバチの針には毒のうという袋状のものがついており、刺された犬の体内に入りアレルゲンとなります。2度目に刺された場合に重篤なアレルギー症状であるアナフィラキシーショックを引き起こすことがあります。
3.マダニ
マダニは公園などの草むらに生息しており、犬が草むらに入ると皮膚にくっついて吸血する厄介な虫です。犬に寄生するとバベシアという病気にかかり貧血症状や黄疸を発症し命にかかわることもあります。
マダニは人と犬に共通した感染症を運ぶことが多く、最近、日本で死者が出して有名になった「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を媒介するため、愛犬のマダニ対策は絶対に欠かせません。
4.ノミ
ノミは犬の皮膚に寄生し、毛の中に潜んで血を吸って栄養を得ます。刺されると、ひどい痒みが生じ、刺された犬の体質によっては、アレルギー性皮膚炎となることもあります。また、ノミを飲み込んでしまうとノミに寄生していた条虫の卵が犬の体内に入り込み、寄生されてしまうこともあります。
条虫に寄生されると、犬は大切な栄養分を奪い取られるため、成長障害を引き起こし成長に影響を及ぼします。
5.ムカデ
愛犬を雨上がりに公園などをさんぽさせていると、素足で歩いている犬の場合、ムカデを踏んで刺されてしまうことがあります。ムカデについている針には毒あるため、誤って踏んでしまうと腫れや痛みといった症状を引き起こします。
散歩のときは、湿気の多い雨上がりの草むらや路地は避け、路面に注意をしながら歩くように心がけてください。
愛犬が虫に刺された場合の対処法
愛犬が虫に刺された場合、痒がったり痛がったりするのを見て、今すぐになんとかしてあげたいと思われるでしょう。毒虫は種類によってその対処法は違います。今回は代表的な「ハチ」「マダニ」「ノミ」の3種類の虫について説明をさせていただきます。
1.ハチ
ハチが刺した針が犬の皮膚に刺さったままだったら、すぐに針を抜く必要があります。しかし、飼い主さん自らが処置をするのは絶対にやめてください。動物病院に連れて行って獣医さんに処置をしてもらってください。また、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため、動物病院に連絡し、獣医さんの指示に従いましょう。
2.マダニ
マダニは普通3mm程度の大きさですが、血を吸ったマダニの体長1cmほどの大きさにまで大きく膨れ上がります。飼い主さんが取り除こうとしても、マダニの体は取れても皮膚に咬み付いている頭の部分だけが犬の皮膚の中に残ってしまいます。なので、発見しても無理に取り除こうとせず、すぐに動物病院に連れて行って処置をしてもらうようにしましょう。予防できる薬があるので、事前に寄生しないように予防することが大切です。
3.ノミ
愛犬の被毛からノミを発見したらすぐにでも取ってあげたいと思うのが飼い主さんの心情でしょう。しかし、その場でノミを潰してしまうと、衛生的にも良くないですし、ノミの卵が飛び散る可能性も考えられます。そのため、決して指や爪で潰さないでください。ノミ取りシャンプーで洗い流した後、動物病院に連れて行き、獣医さんによる適切な処置をしてもらいましょう。
愛犬を虫から守る予防法
愛犬を毒虫から守るためには、いくつかの予防策を講じることが重要です。以下の方法を参考にしてください。
環境管理
1.草むらや藪を避ける
散歩や遊びの際には、草むらや藪の多い場所は避けるようにしましょう。これらの場所には毒虫が多く潜んでいる可能性があります。
2.庭の手入れ
自宅の庭や犬の遊び場を定期的に手入れし、雑草や不要な植物を取り除きます。また、水たまりや湿った場所をなくすように心がけましょう。
防虫対策
1.防虫スプレー
犬用の防虫スプレーや防虫リキッドなどの犬用防虫剤をこまめに使用するようにしましょう。使用前に製品のラベルをよく読み、適切な量での使用を心がけてください。
2.防虫首輪
防虫効果のある首輪を付けることも効果的です。防虫首輪を使用することでノミやダニなどの毒虫から愛犬を守ることができます。
室内の対策
1.蚊帳や網戸の設置
室内に毒虫が入らないよう、蚊帳や網戸を設置しましょう。最近の戸建てやマンションでは窓にはすでに設置されていると思いますが、玄関ドアなどの設置されていない部分への設置も考えてみてください。
2.虫除け装置の使用
最近は、たくさんの虫よけグッズが商品化されています。そんな虫よけグッズの中で、室内で使用できる犬に安全な虫除けグッズを選んで使って見るのも効果的だと思います。
予防接種と薬
1.フィラリア予防薬
蚊が媒介するフィラリアから犬を守るために、定期的に予防薬を投与することをお勧めします。投与薬によって若干異なりますが、蚊が発生する時期に月に1回、蚊が見られなくなってから1か月後までの期間投与します。
2.ダニ・ノミ駆除薬
定期的にダニやノミ駆除薬を使用して、犬の皮膚や毛に寄生する虫を予防してください。駆除薬を散布するときは、散布薬を絶対に浴びないように外出をして、完了してからも掃除を行ってから愛犬を部屋に入れるようにしてください。
定期的なチェック
1.身体チェック
散歩や外出から帰った後は、愛犬の身体をチェックし、ダニやノミが付いていないか、刺された痕跡がないかなどの確認を行うようにしましょう。特に耳の裏や足の間、首回りなどを丁寧に調べてください。
2.ブラッシング
定期的に犬の毛をブラッシングし、虫が付着していないか確認してください。ノミ取りブラシなどを使ってくまなく丁寧に行うようにしましょう。
救急対策
1.応急処置キット
犬が刺されたり噛まれたりした場合に備え、応急処置キットを用意しておくと良いでしょう。キットには、消毒液、かゆみ止めクリーム、ダニを除去するためのピンセット、包帯などを揃えておくと良いでしょう。
2.獣医師の連絡先
緊急時にはすぐに連絡できるよう、掛かりつけの動物病院の連絡先をスマートフォンなどに登録しておくようにしましょう。
教育訓練
禁止エリアを教える
犬が毒虫が多い草むらや公園などの場所に近づかないようにしつけを行います。もちろん、飼い主の皆さんも危険な場所を把握しておいてください。
まとめ
毒虫から愛犬を守るためには、環境管理や防虫対策、定期的な健康チェックが欠かせません。予防策を講じることで、犬を毒虫から守り、健康を維持することができます。また、万が一刺された場合の応急処置や、迅速な獣医師の診察がとても大切です。