日本で販売されているペットフードの実態について

ご自宅で愛犬と一緒に生活されている飼い主の皆さまなら、日ごろの愛犬の食事には気をつけていらっしゃることだと思います。ご自宅で手作りフードを作られている方も増えてきているものの、多くの皆さまはペットフードを与えておられることだと思います。

そこで今回は、そんな気になる「日本で販売されているペットフードの実態」について考えて見たいと思います。

目次

日本のペットフード市場の実態

日本のペットフード市場は、近年では大きな成長と多様化を見せてきております。ペットの家族化が進む中で、ペットフードに対する消費者の意識も変化してきており、市場は高品質化と健康志向にシフトしていますが、ユーザーの価格志向や国の法規制など、さまざまな課題も抱えていることも現実です。そこで今回、そのような課題について少しお話をさせていただきます。

市場規模の拡大

日本のペットフード市場は、少子高齢化の影響でペットが家族の一員として位置付けられ、年々拡大しています。2020年には、ペット関連市場は約1兆円に達し、その中でもペットフードは重要な市場を占めています。特に高齢化が進む中で、シニア犬や猫のための専用フードの需要が増加しています。

健康志向と高品質フードの需要増

飼い主の健康意識の高まりに伴い、ペットフードも高品質で健康を重視した製品の人気が高まっています。無添加やグレインフリー、オーガニックなどの製品が増えており、ペットのアレルギーや特定の健康状態に対応した療法食も多く販売されています。特に、犬や猫がアレルギーを持っている場合、それに適したものを選ぶ傾向が強くなっています。

国内ブランドと輸入品の競争

日本のペットフード市場には、国内ブランドと輸入ブランドの両方が存在します。国内ブランドは、日本の消費者の好みに合わせた商品展開が強みですが、輸入品に比べてプレミアムフードのバリエーションが少ないこともあります。一方、アメリカやヨーロッパからの輸入フードは、より高品質な材料や国際的な基準をクリアした商品が多く、特に高価格帯の市場で人気です。

法規制の強化

2009年に施行された「ペットフード安全法」により、日本のペットフードに対して品質や安全性の基準が設けられています。この法律では、製造業者は成分表示を明確にし、ペットの健康に有害な物質を含まないようにすることが求められています。しかしながら、アメリカやEUに比べると規制が緩やかな点もあり、消費者がすべての情報を把握するのが難しいことがあります。ペットフード安全法に関しては『知っておきたい「ペットフード安全法」とは?』をご覧ください。

価格重視と低価格帯の製品

日本では、低価格帯のペットフードも依然として多く販売されています。これらの製品は、肉副産物や穀物を多く使用していることが多く、価格を抑える一方で栄養価が他のプレミアムフードに比べて低いことがあります。低価格の商品が広く普及している背景には、消費者の価格重視の傾向があります。

アレルギー対応フードや療法食の普及

アレルギー対応や特定の病気の治療・予防を目的とした療法食の需要も増えています。犬や猫の皮膚病や消化器系の問題に対応したフードが獣医師の推薦のもと販売されており、ペットの健康維持を重視する飼い主の間で高い需要があります。

エコ・サステナビリティへの意識の高まり

SDGsへの関心が高まる中で、ペットフード市場でもサステナブルな製品が注目されています。オーガニックや自然由来の原材料を使用し、環境に優しい製造方法を採用する企業が増加しており、エコ志向の消費者に支持されています。また、包装材のリサイクルや環境負荷を減らす取り組みも徐々に進んでいますが、欧米ほどの浸透はまだ見られていません。

ペットフードの選び方に関する消費者教育

日本では、ペットフードに関する消費者教育が進んでいますが、依然として多くの飼い主が適切なフードの選び方について十分な知識を持っていないことが課題とされています。特に、成分表示を理解し、ペットの健康状態に合ったフードを選ぶための情報が必要です。

オンラインショッピングの拡大

日本のペットフード市場では、オンラインショッピングが急速に拡大しています。特に、地方や都市部に住む忙しい飼い主にとって、インターネットでペットフードを購入することが便利であるため、Eコマースの利用が一般化しています。また、定期購入サービスなども普及しつつあります。

まとめ

日本のペットフード市場は、消費者の健康意識や高品質なフードの需要の高まりに応じて進化していますが、価格志向の強い製品も依然として広く販売されています。法規制や品質基準が整備されつつありますが、消費者教育や透明性の向上がさらに求められています。

日本で販売されているペットフードの海外との違い

日本のペットフード市場と海外の市場には、いくつかの違いが存在します。主に規制、消費者の意識、品質の基準などで異なりますが、以下はその主な違いになりますので、是非ご参考にしてください。

法的規制と基準の違い

日本

日本では「ペットフード安全法」に基づき、ペットフードの製造と販売が規制されています。これにより、有害物質の制限や成分表示が義務化されていますが、AAFCO(米国飼料検査官協会)のような強力な法的基準は任意です。日本独自の規制基準もありますが、海外の規制に比べて緩やかな部分もあります。

アメリカ・EU

アメリカではAAFCOが基準を策定しており、ペットフードの栄養バランスや成分の表示が厳しく規制されています。EUでは、より厳格な動物愛護や環境保護の基準があり、成分や生産プロセスに対する規制が厳しいです。例えば、抗生物質やホルモンを使用した動物由来の原材料の使用が制限されていることがあります。

消費者の健康意識

日本

日本のペットフード市場では、無添加やグレインフリー(穀物不使用)などの健康志向の商品も増えてきていますが、全体的にはまだ価格重視の傾向が見られます。低価格の製品も広く普及しており、成分よりもコストパフォーマンスを重視する飼い主が多いです。

アメリカ・EU

欧米ではペットの健康に対する意識が非常に高く、オーガニックやナチュラル素材、グレインフリーのペットフードが広く支持されています。また、アレルギーや特定の健康問題に対応した療法食も一般的で、飼い主がペットフードの品質や成分に対して非常に敏感です。サステナブルな原材料や、環境に配慮したパッケージが求められることもあります。

原材料の違い

日本

日本では、肉副産物や穀物が使用された低価格帯のペットフードが多く流通しています。また、日本国内での自給率が低いため、原材料の多くは輸入に依存しています。国産の原材料を強調した商品も増えていますが、まだ一部に限られています。

アメリカ・EU

欧米のペットフード市場では、原材料の品質に非常に厳しい基準が設けられていることが多く、高品質の肉や魚が使用される傾向にあります。特にアメリカやカナダでは、「ヒューマングレード」(人間が食べられる品質)の原材料を使用したフードが人気です。また、ホルモンフリーや抗生物質フリーの動物由来成分を使用する製品もあります。

添加物の違い

日本

日本のペットフードには、保存料や着色料などの添加物が使用されている商品も少なくありません。消費者の価格重視の傾向があるため、これらの添加物がコスト削減のために使用されることがあります。

アメリカ・EU

欧米では、添加物に対する警戒心が強く、無添加や自然由来の保存料を使用したペットフードが多いです。特にEUは添加物に対して厳しい基準を持ち、人工的な着色料や保存料の使用が制限されています。

オーガニック・サステナブル志向

日本

日本では、最近になってオーガニックやエコロジー意識が高まり、そうしたペットフードも増えていますが、まだ主流とは言えません。サステナビリティに対する関心も欧米ほど高くはない傾向があります。

アメリカ・EU

欧米では、環境に配慮したサステナブルなペットフードが大きな支持を得ています。オーガニック素材や地産地消の原材料を使った製品が非常に人気であり、持続可能な方法で生産されたフードが消費者に評価されています。

価格帯の違い

日本

日本では、ペットフードの価格帯が広く、安価な製品が依然として多く流通しています。多くの飼い主がコストパフォーマンスを重要視しており、価格が低めの商品が選ばれやすい傾向があります。

アメリカ・EU

欧米では、ペットフードの価格はやや高めで、特に高品質なプレミアムフードが主流となっています。健康志向の製品やオーガニック、ナチュラルフードの人気が高く、価格よりも品質が重視される傾向が強いです。

ペットフードの透明性

日本

日本では、ペットフードに含まれる成分やその産地についての詳細な表示は、他国と比べてまだ不十分な部分があり、消費者が成分の詳細を把握しにくい場合があります。

アメリカ・EU

欧米では、成分表示が非常に細かく規定されており、産地や栄養価についての透明性が高いです。ペットフードに含まれる成分がどのように調達されたかや、どのような加工が行われたかについて詳細な情報が提供されることが一般的です。

まとめ

日本と海外のペットフード市場は、法規制、消費者の健康意識、原材料の品質、価格帯、透明性において異なる点が多いです。日本は価格重視の傾向が強い一方で、海外特に欧米では健康志向やサステナブルな製品が重視されています。

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