ペットショップのPOPやペットフードメーカーのSNSなどでよく目にする「総合栄養食」と称されるドッグフードは、愛犬の健康を支えるために必要なものなのでしょうか?
ぶっちゃけて申し上げますと、犬の総合栄養食は、愛犬の健康維持に必要な栄養素がバランス良く配合されたドッグフードではあります。しかし、バランスが取れた栄養素を基本に作られた食品であるため、通常に生活をしている成犬には向いていますが、病気やアレルギー体質の犬、そして、シニア犬や子犬には適さない場合があります。また、市販のドッグフードと比較すると高額であることから費用対効果を考えると躊躇してしまったりもします。
従って、健康を支える重要な役割を担った食品ではありますが、使用の際は少し注意をしていただく必要があります。
そこで今回は、愛犬の「総合栄養食」について少し考えてみたいと思います。
総合栄養食の基準は?
AAFCO(米国飼料検査官協会)という機関が、犬の年齢やライフステージ(成長段階)ごとに必要な栄養基準を設けています。総合栄養食はこの基準を満たしており、水と合わせて与えるだけで、犬が必要とする栄養を摂取できるとされています。AAFCO
総合栄養食に含まれる主な栄養素
総合栄養食には、以下のような栄養素が含まれています。
1.タンパク質
筋肉、臓器、被毛などを構成する重要な栄養素。動物性タンパク質と植物性タンパク質があります。
2.脂質
エネルギー源となる他、脂溶性ビタミンの吸収を助ける役割も。必須脂肪酸であるオメガ3、オメガ6も必要です。
3.炭水化物
エネルギー源となる栄養素。穀物や芋類などに多く含まれます。
4.ビタミン
体の様々な機能を調節する栄養素。不足すると様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
5.ミネラル
骨や歯の形成、体内の水分バランス調整など、重要な役割を担います。
6.水分
体の約70%を占め、体温調節や栄養の運搬などに不可欠です。
※ 詳しくは、「犬に必要な栄養素とは?」をご参考にしてください。
総合栄養食を与えれば、他に何も与えなくて良いの?
基本的には、総合栄養食と水だけで十分な栄養を摂取できます。しかし、おやつとして、少量の野菜や果物を与えることは問題ありません。ただし、与えてはいけない食材もあるので、事前に獣医師に相談しましょう。
総合栄養食は愛犬の健康を支えるために欠かせないものです。愛犬の体調や食いつきなどを観察しながら、最適なものを選ぶようにしてください。
犬の総合栄養食はどんな時に必要?
犬の総合栄養食は、以下のような場合に必要です。簡単に言うと、特別な食事制限がない限り、ほとんどの犬にとって必要なフードと言えるでしょう。
健康な成犬・子犬の毎日の食事
総合栄養食は、AAFCOの基準を満たし、犬が必要とする栄養素をバランス良く含んでいるため、特別な食事制限がない限り、毎日の食事として最適です。健康維持、成長に必要な栄養をしっかりと補給できます。
食事の栄養バランスを簡単に管理したい時
手作り食は、飼い主が栄養バランスを考えながら食材を選ぶ必要があるため、手間と知識が必要です。その一方で、総合栄養食は、すでに栄養バランスが調整されているため、手軽に愛犬に必要な栄養を与えることができます。
病気やアレルギーがない、一般的な健康状態の犬
病気やアレルギーを持つ犬の場合、特定の栄養素を制限したり、特定の食材を避ける必要があるため、療法食と呼ばれる特別なフードが必要となります。しかし、健康な犬であれば、総合栄養食で十分です。
ライフステージに合わせた栄養管理
子犬、成犬、老犬、妊娠・授乳期、去勢・避妊後など、犬のライフステージによって必要な栄養素は異なります。総合栄養食は、それぞれのライフステージに合わせて栄養バランスが調整されているため、最適な栄養管理が可能です。
総合栄養食ではないフードもあるの?
「一般食」「副食」「間食」「療法食」など、様々な分類のドッグフードも存在します。
1.一般食
総合栄養食の基準を満たさないフード。他のフードと組み合わせて栄養バランスを整える必要があります。
2.副食
おやつやトッピングとして与えるフード。栄養バランスは考慮されていません。
3.間食
いわゆる「おやつ」です。嗜好性を重視しており、栄養バランスは考慮されていません。
4.療法食
病気やアレルギーを持つ犬のために、栄養バランスを調整したフード。獣医師の指導のもとで与える必要があります。
特別な食事制限がない限り、ほとんどの犬にとって総合栄養食は必要不可欠なフードです。愛犬の健康状態やライフステージに合わせて、最適なフードを選んであげてください。
良い犬の総合栄養食の選び方
愛犬にぴったりの総合栄養食を見つけることは、彼らの健康と幸せに直接つながります。しかし、たくさんの種類があるため、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。そこで、良い犬の総合栄養食選びのポイントを5つに分けて説明いたします。
(Point1) 愛犬の情報を整理する
まず、あなたの愛犬について以下の情報を整理しましょう。
- 年齢:子犬、成犬、老犬によって必要な栄養素が異なります。
- 犬種:犬種によってかかりやすい病気や体質が異なるため、フード選びの際に考慮が必要です。
- 体型:太り気味、痩せ気味など、体型に合わせたカロリー調整が必要です。
- 運動量:活発な犬は高カロリー、運動量の少ない犬は低カロリーのフードを選びましょう。
- 健康状態:アレルギーや持病がある場合は、獣医師に相談の上、適切なフードを選びましょう。
- 食の好み:食いつきが悪く、フードを残してしまう場合は、嗜好性に合わせたフード選びも大切です。
(Point2) ラベルをしっかり確認する
パッケージのラベルには、フードの品質を見極めるための重要な情報が詰まっています。AAFCOの基準を満たしているか、または「総合栄養食」と表記されているかを確認しましょう。
- 原材料名:肉や魚など、良質なタンパク質源が主原料として使用されているかを確認しましょう。
- 原産国:品質管理が徹底されている国の製品を選ぶのがおすすめです。
- 保証分析値:タンパク質、脂質、炭水化物の含有量などを確認し、愛犬に適しているか判断しましょう。
- 添加物の有無:着色料、香料、保存料など、犬にとって負担となる添加物は避けるようにしましょう。
(Point3) グレインフリー、ヒューマングレードなども考慮
- グレインフリー:穀物不使用のフードです。穀物アレルギーの犬に適しています。
- ヒューマングレード:人間が食べられるレベルの食材を使用しているフードです。高品質で安全性が高い傾向があります。
ただし、グレインフリーは犬によっては必要な栄養素が不足する可能性もあるため、注意が必要です。ヒューマングレードは価格が高めになる傾向があります。
(Point4) 口コミや評判も参考に
他の飼い主の口コミや評判もフード選びの参考になります。ただし、口コミはあくまでも個人の感想であることを踏まえ、参考程度にしましょう。
(Point5) 最終的には愛犬の様子を見ながら判断
どんなに評判の良いフードでも、愛犬に合わなければ意味がありません。実際にフードを与え始めたら、以下の点に注意して、愛犬の様子を観察しましょう。
- 食いつき:喜んで食べてくれるか、残さずに食べてくれるかを確認しましょう。
- 便の状態:消化吸収がうまくいっているかは、便の状態で判断できます。
- 毛並み:フードを変えることで、毛並みが良くなる、悪くなることがあります。
- 体重の変化:適切なカロリーのフードを選べているか、体重の変化で確認しましょう。
- アレルギー症状:フードが原因で、皮膚のかゆみ、嘔吐、下痢などのアレルギー症状が出る場合があります。
少しでも気になることがあれば、獣医師に相談するようにしましょう。
愛犬にとって最適な総合栄養食を見つけるには、時間と根気が必要です。焦らずに、じっくりと愛犬に合ったフードを探してあげてください。
犬の総合栄養食についてのまとめ
犬の総合栄養食は、水と一緒に与えるだけで、愛犬に必要な栄養をすべて摂取できる、いわば「完全食」です。しかし、種類が豊富で、どれを選べば良いか迷ってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
総合栄養食とは?
AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準を満たし、犬の健康維持に必要な栄養素がバランス良く配合されたドッグフードで、子犬用、成犬用、老犬用、犬種別など、様々な種類があります。
なぜ総合栄養食が必要なの?
手作りフードと比べて、簡単に栄養バランスが整えられます。また、愛犬の年齢や健康状態に合わせた栄養管理が可能です。
良いフードの選び方
年齢、犬種、体型、運動量、健康状態、食の好みなどを考慮して、愛犬の情報を整理する必要があり、AAFCO基準、原材料、原産国、保証分析値、添加物などをチェックすることも大切です。また、必要に応じて、グレインフリー、ヒューマングレードなども考慮した選択や口コミや評判も参考にすることも考えて見てください。
最終的には愛犬の様子を見ながら食いつきや便の状態、毛並み、体重の変化、アレルギー症状などに注意しながら選びましょう。
総合栄養食を与えれば他に何も与えなくて良い?
基本的には、水と総合栄養食だけで十分です。しかし、おやつとして少量の野菜や果物を与えることは問題ありません。ただし、与えてはいけないものもあるので注意が必要です。
まとめ
総合栄養食は、愛犬の健康を支えるための重要な役割を担っています。今回のガイドを参考に、愛犬にぴったりのフードを見つけてあげてください。
※ AAFCOについては、「ドッグフードに表示されているAAFCOって何ですか?」をご覧ください。